芸術の街、パリ。
華やかな地上とは打って変わり、パリの地下には、実に600万人が眠る世界最大の墓地が広がっています。
その名も「カタコンブ・ド・パリ(Catacombes de Paris)」。
カタコンブ(カタコンベ)とは、地下の墓地のことであり、最初から死者の埋葬のために造られるのが普通ですが、カタコンブ・ド・パリは、そうではありませんでした。
最初は単なる採石場に過ぎなかったのです。
パリの地下に広がる巨大墓地。いったいどんな所なのでしょうか。
※以下、頭蓋骨等、人骨の写真が含まれます。苦手な方はご注意ください。
入口から階段を下っていくと、カタコンブ・ド・パリの冒険の始まりです。
地下およそ20メートルの位置にあります。ここからは死者の国です。
内部はそれほど広くありません。空気がひんやりとしています。
入ってしばらくの間は人骨は出てきません。
薄暗い中をずんずん進んでいきます。
(次の写真から、人骨が現れます!ご注意ください!)
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現れました……!
大量の人骨です。石に見えるかもしれませんが、驚くなかれ、すべて骨です。
カタコンブ・ド・パリはどのようにして成立したのか?
かつてパリでは、キリスト教の習慣により、死者の埋葬は、教会やその周辺への土葬により行われていました。
ところが、10世紀以降、だんだんとスペースがなくなっていきます。
12世紀には、新たに集団埋葬用の「サン・イノサン墓地」が作られるも、その墓地もやがては飽和状態に達してしまいます。
しかし、そんな状況にも関わらず、死者の埋葬は続けられました。
キャパシティ以上の死者で溢れかえる墓地。衛生状態は最悪でした。
当時の環境について、「ワインは一週間たたないうちに酸っぱくなり、食べ物が数日で駄目になる。井戸水は腐敗した物質で汚染されており、消費するにはますます不向きである。」と述べられています。
ようやくサン・イノサン墓地の閉鎖が決まったのは、1785年のことです。
しかし、溢れかえった人骨、そして今後の埋葬をどうするか?
考え、生み出されたのが、カタコンブ・ド・パリでした。
パリの建造物に使用されている石は、パリの地下の採石場から切り出されたものです。
何世紀にもわたる採石の結果、現在でもパリの地下20~30mには、かつて採石場跡だった巨大な地下空間が延々と広がっています。
カタコンブ・ド・パリは、そんな採石場跡の空間を利用して生み出されました。
採石場跡の地下空間は、地盤沈下の原因にもなっていましたから、一石二鳥でした。
膨大な量の遺骨が移送され、納められました。
以上がカタコンブ・ド・パリ成立の経緯です。
しかし、ここまで大量にあると、もはや怖いという感じはしないですね。
辺り一面遺骨。しかもけっこう規則的に積まれています。
さすがパリ。墓地だっておしゃれです。
さて……そうこうしているうちに、見学コースも終わりに近づいてきました。
なんだかとても疲れました。
私は今日一日だけで、一体何人分の遺骨を見たのでしょうか。
いや、ひょっとしたら、私が”見られていた”のかもしれません……。
疲れたのではなく、”憑かれた”のでしょうか。。
以上、パリの巨大地下墓地でした。
日本人には馴染みが薄いですが、欧米人には人気で、2~3時間待ちの行列ができることもあるようです(私が訪れたときは、30分ほどの行列でした)。
いやはや、不思議な場所でした。
王道観光も良いですが、このようなアンダーグラウンド的スポットも悪くないですね。
公開されているのは1.7kmですが、全体では延べ500km以上にもわたると言われています。
万一見学コースから外れてしまうと……? カタコンブ・ド・パリの一員になってしまうかもしれないので注意しましょう。
【諸々の情報】⇒ 地図
行き方:ダンフェール=ロシュロー(Gare de Denfert-Rochereau)駅(地下鉄4,6号線、PER B線)降りてすぐ
入場料(現地):13€(18~26歳は11€、18歳未満は無料)※オーディオガイド:5€
オンラインチケット:29€ ※オーディオガイド含む(18歳未満は5€ ※オーディオガイド含まず)。※オンラインチケットは、現地価格よりけっこう高めの値段設定ですが、行列に並ばなくて良い、という利点があります。⇒ 公式サイトより購入可
営業時間:10:00am~8:30pm(チケットは7:30pmまで)
休業日:月曜、1/1、5/1、12/25
出口について:入口から700mほど離れた地点に出口はあります。⇒ 地図(だいたいこの辺りです。)
注意点:お手洗いはありませんので事前にすませましょう(並んでいる最中に緊急事態に陥った場合は、前後の人に断った上で、近くのカフェ等に駆け込むほかありません……)。また、当たり前ですが骨を持ち帰るのは禁止です。
※パリ・ミュージアム・パスは使用できません。
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